2016-07-05

フルオーダースーツの難しさ

私はフルオーダースーツを3着作ったことがありますが、
その都度、難しさを痛感しています。
それは、「自分の体型に合ったクールなデザインにする」難しさです。


フルオーダースーツのデメリット

フルオーダースーツのデメリットとして真っ先にあげられるのは価格と時間です。
周知の事実です。お金もかかるし、時間もかかる。
ここを乗り越えられなければ手が届かないフルオーダースーツ。
ただ、これはオーダーする前のデメリットであって、
フルオーダーという注文そのもののデメリットではありません。

価格と時間をクリアすれば、ジャストフィットのかっこいいスーツができる!
と思ったら、それは大きな間違いです。

フルオーダースーツの最大のデメリットは
スーツをデザインすることの難しさなのです。


自分の体型に合ったフルオーダースーツ

フルオーダースーツは丁寧に採寸してもらえます。
そしてパターンの縛りもないので、お望み通りのサイズになります。
自由なキャンバスに、細々採寸した数値が描かれる。
まさに「自分の体型に合ったスーツ」が出来上がるのです。
素晴らしいです。

でも、よくよく考えてみてください。
「自分の体型に合ったスーツ」が出来上がる。

自分の体型。

自分の体型ってかっこいいですか?
クールですか?
背が低かったり、お腹が出ていたり、
肩が張っていたり、手が長かったり。
モデル体型とは程遠い人がほとんどかと思います。

そう、自分の体型に合ったスーツを作っても仕方ない。
「自分の体型に合ったクールなデザイン」にしていく必要があります。
ここからがフルオーダースーツの難しさであり、
テーラーと自身の実力が問われることになります。


何も言わなければパターンオーダー

満を持して作るフルオーダースーツ。
そこに自分の明確な考えや要望を伝えられなかったとしたら、
テーラーのセンスだけで出来上がるスーツとなります。

それはもはやパターンオーダーと変わらないかもしれません。

もちろん良いものは出来上がると思います。
ただ、せっかくのお金と時間をかけたフルオーダースーツ。
自分のセンスも混ぜ込んだ最高の一着を作りたい。


重要なのは対話

もうわかっている通り、重要なのは自身とテーラーの対話です。
自分自身のこだわり、好きなスタイル、着たいシチュエーション。
それらのことを十分にテーラーに伝え、
それを自分に合ったサイズで、クールに見えるようデザインする。

これがとても難しい。
もともとのパターンやデザインがないため完成した絵が見えない。
対話の中でお互いのイメージを一致させなければならない。
選んだ生地の風合いやしなやかさまで読みきれなかったりすることも。

正直、下手にフルオーダーするよりも、
もともと洗練されたパターンから選んで調整した方が
良いものが出来上がるのではないかと思っています。

最高のフルオーダースーツにたどり着くのはとても険しい道です。
ただ、それがどうしようもなく楽しいので、
私はまた足を運ぼうと思っています。

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