2016-06-24

イギリスのEU離脱が英国ファッション産業に与える影響

国民投票により、イギリスのEU離脱が決まりました。
国民投票に法的拘束力はないものの、
間違いなくEU離脱に向けて動いていくことになります。

経済や政治など社会情勢に与える影響は多々あるかと思いますが、
英国ファッションブランド好きとして、
イギリスEU離脱が与える影響と、その先行きについて考えてみようと思います。


英国ファッションの分類

英国ファッション産業、ブランドと言っても多岐にわたりますが、
大きくは3つに分類できるかと思います。

①コレクションに根付いたブランド
アレキサンダーマックイーン、ヴィヴィアン、バーバリー、ポールスミスなど

②ファストファッションに根付いたブランド
トップショップ、プライマークなど

③ファクトリーに根付いたブランド
チャーチ、エドワードグリーン、ホワイトハウスコックス、仕立て屋など

①と②についてはEU離脱が与える影響は軽微だと思います。
為替、観光客の減少などの影響は多少は受けるものの、
製造元がそもそもイギリスではない商品がほとんどです。
また、バーバリーなどを中心にグローバルブランドとなっており、
もはやイギリスという枠組みを飛び出していますので、
立ち回り方はいくらでもあると思います。
そのブランドの実力次第といったところです。

問題となってくるのは③ファクトリーに根付いたブランドです。
イギリスの伝統とイメージを繋いできている大切なブランドたちで、
工場や店舗をイギリス国内に構えています。
この③について掘り下げていきたいと思います。


伝統的なブランドたち

スーツ、シャツ、革靴、革小物。
私たちの心をくすぐるファクトリーに根付いた英国ブランドは
ここ最近は変化を求められていました。
資源の高騰、大量生産、ファッションの多様化などにより、
今までのようなシンプルなビジネス環境ではなくなってしまったためです。

行き詰まったブランドたちは2極化の選択を迫られました。
簡潔に言うと、値上げか、値下げかです。
ほとんどのブランドは値上げを選択しました。
安定した技術力と、圧倒的なブランド力があったからです。

紳士の国、イギリス。
このイメージから作り上げられるブランド力は圧倒的なものです。
日本の技術がいくらそのレベルに追いつこうとも、
到底越えることのできない歴史と伝統が作り出すブランドイメージがあります。
高い価格すらブランド価値を示すものだと飲み込めてしまいます。

関税や人件費の高騰などによる価格の上昇はクリアできる課題かもしれません。
逆にこのイメージが崩れてしまうと、イギリスがイギリスでなくなってしまうと、
このブランドたちの今後は厳しいものとなっていきます。


イメージ崩壊の危険性

EUに縛られるのではなく、自分たちのことは自分たちで決める。
離脱派は伝統的なイギリスを取り戻すためのEU離脱だと言っています。
伝統的なイギリスを取り戻すということは先に挙げたブランドたちにはプラスのはず。
ただその道は茨の道です。

イギリスはかつての大国イギリスではありません。
今でも世界の中心的な国であることは間違いありませんが、
時は流れて、中国をはじめ、発言力が増す国はたくさんいます。

短期的視点で見れば、EU離脱は経済的に悪影響が出ます。
EUを離脱したのですから、EUをはじめ関係各国が難色を示すかもしれません。
その中で、イギリスが強い国で居続けられるのか。
イギリスが弱い国になってしまったら、憧れではなくなってしまったら、
少しずつファンは離れていきます。

また、スコットランドが独立するのかが問われていますが、
仮に独立するようになるのであれば、
イギリスのイメージが大きく変わってしまう事態となります。

EU離脱は今のイギリスのイメージを大きく変えてしまう危険性を秘めているのです。


険しい道の先には、、

以上のように、イギリスという国はもちろんですが、
その国のイメージで支えられている伝統的なブランドたちにも、
険しい道が待っていると思います。

ただ、離脱派が言うように伝統的なイギリスを取り戻す離脱であるのであれば、
イギリスブランドはさらに強いものとなるでしょう。

大好きなイギリスをいつでも応援しています。

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